会社近くの某カフェが、マツキヨになっていた

いつも8:40頃に、某カフェの窓際をちらちら見ながら出社するための道を歩いていた。
窓際は、PCを開きながら仕事をしている人たちしか見えなかった。
あんなに居座っていたら、カフェの利益にならないだろうと思っていたが、予想が当たった。
しかし退勤時に、マツキヨの黄色の爛々とした明かりを見て、昔のことを思い出して、少し寂しくも感じた。

昔話(6年前)

自分が入社して数ヶ月後から、上司と同行してお客様先に定期的に行っていた。お客様向けに毎月報告会をしており、その副担当として資料を一部作成して、自分も出席をしていたのだ。

その報告会では、お客様だけではなく、自社の協力会社(パートナー)も出席をする。初めてそのパートナーと現地で顔を合わせた時には、正直嫌な顔をされた。自社では、新人をお客様担当にシフトすることが多々あった。パートナーの担当者と上司が顔を合わせた時の会話で、今回もそのつもりなんじゃないのか、と腹づもりを伺っていたようだった。

私の上司は、お客様とは2年近くの付き合いで、その環境にも理解があった。確かに、自分と変わることになったら嫌だろうなあ、と気持ちはよくわかった。

そんな関係性のパートナーとお客様を相手に3-4回くらい報告会に同行した。度、報告書の解像度が上司と自分と違うため、自分が気を利かせて改ページを入れたら、印刷した資料に真っ白なページができてしまい、上司を困らせたこともあった。

資料のコンテンツは良いものをかけている(つまりITの技術的な部分には自信を持っていた)が、ガワが上手くできないなあ、とまだまだ未熟であると感じていた。

上司がインフルになった

ある月、上司と資料を完成させた翌日に、上司がインフルエンザで報告会へ参加出来なくなった。「僕は行くとして、誰か同行してもらった方がいいですか」と上司に電話口に聞いたところ、「いや、行けるはずや。頑張ってくれ。」と言われた。
その上司は、実践こそ一番の経験と考える傾向にあり、早く客先での説明を体験してもらいたかったのだと思う。

緊張しつつも、報告会に赴いて、パートナーの人達に事情を説明し、その足でお客様先に向かった。

いつもは上司が資料を報告しているが、自分が全て報告することになった。その内容については、あまり覚えていない。一つ記憶に残っていることがある。

「実はわからないのですが、GETメソッドと書いていますが、これってURL内に書いてあるんですか?」みたいなことをその場で質問された。お客様からの質問を口頭で受けることに慣れていないうえ、よくわからない質問だった。

僕がどう説明しようか言い淀んでいると、パートナーの人が気を利かせて、「はい、そうです」と答えた。自分は「ええー!何言ってるの!?」と驚きと疑問を持ちながらも、すべての報告を終えて、会議は終了した。自分は、お客様が不満気なこともなかったと思い、安心しながらお客様先から出てきた。

報告会は終わったが…

ビル全体のエントランスのところで、パートナーの人と解散するタイミングで、説教をされた。

その内容は、事情があるとはいえ、新人一人をお客様先に出すのはどうかと思う、というものだった。営業の人なりを体裁を気にして連れてくるなりするべきじゃないか、ということと、お宅の会社はそういうところがある、などということだ。

これは、営業の人にクレームを入れさせてもらうみたいなこと言われてその場は解散した。

自分としては、新人一人を客先に出すのはどうかと思う、というのはごもっともで、僕も気にしていたことだったし、上司にも相談していたことだった。

お宅の会社はそういうこともあるというのも、僕をサンドバックにして言いたいことを言っているようなことで、組織の一員であるとはいえ、新入社員とわかっている奴に向かって、いい歳のおじさんがいうべきことか?と思った。
私の上司に対して言えないことを、立場自分にいわれているような気がして、少し嫌な気持ちではあった。

それと、この話をされているのも、僕がお客様からの技術の質問を答えらなかったことを振りかざして言っているんじゃないかとも思った。ただ、回答している内容は間違っているわけで、何を振りかざしてんだろう?など疑問に思った。

パートナーの方から言われた「言葉」以上に、それとは別の自分へ向けられた「不満の塊」みたいなもののインパクトが自分にダメージを与えた。

いろんなことがぐるぐると頭を巡りながら帰社するための電車に乗り、会社の最寄り駅に着いた。

お昼

いつもは上司とお客様近くのお店でお昼を食べるのだが、場を後にしたくて一目散に去ってしまった。
会社で食事をとろうかと思ったが、そのまま帰るような気持ちにもなれず、帰路にあった、カフェに流されるように入った。

上京直後で一人で外食自体あまり慣れておらず、知らないお店には入らなかった。ただ、へこんでいたこともあり、初めてカフェに入った。

注文方法もよくわからないが、とりあえず入店してみようと考えた。結果的に美味しそうなパンを買って、席について、かぶりついた記憶がある。

パートナーの担当者から受けた不満の塊は、そこで気持ちの整理がついて、言われたクレームも本来自分が言われる謂れのないものだが、一企業人としては言われてもしょうがないものだろうと整理ができた。機会はどうであれ、いつかは言われていたクレームだったんだろう、風船ドボンゲームみたいにたまたま自分の目の前で破裂したようなものだと考えるようにした。

今思うと、そこでビジネスの対応時に、心の中に壁を1枚立てておくようなことができるようになり、ザラっとすることを言われても、感情面ではダメージを受けなくなった気がする。

そして現在…

いつも退勤後に、カフェが目に入っていた。今の自分からすると、別に何ともない出来事で、カフェを見るたびにうっすら記憶がよみがえるような場所だった。

それが、あの黄色と黒の看板とたくさんの商品棚に置き換えられて、いつかこの思い出がどこかに消えてしまうような気がして書き残しておこうと思ったのだった。